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航空事情 航空ビジネス講座

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各論(2)  航空会社の収支 − 費用分析(1.直接費用) 2)燃料代

 
燃料代は、全ての部門での人件費の合計に次いで大きな費用項目で、費用全体の14.3%を占めています。しかし、市場での原油価格の変動により、ジェット燃料など、航空機の燃料価格も変動し、この比率も変わります。民間航空が始まって以来、燃料価格の変動は航空会社の経営に影響を与えています。ルフトハンザ・ドイツ航空の前身となった航空会社は、運航開始から僅か6ヶ月で、1919年に燃料が不足する前に、運航停止に追い込まれています。その航空会社は数ヵ月後に運航を再開しましたが、現在でも燃料価格の変動はルフトハンザ航空の経営に影響を与えています。また、原油価格の著しい高騰は、少なくともいくつかの航空会社の決算を、赤字に追い込みます。

それでは、どうすれば燃料代を抑えることが出来るのでしょうか。航空会社からすれば燃料代は、その外部で決定される費用だと言うことが重要です。燃料の価格は空港ごとに異なります。安い価格の空港で、機体の重量制限の許す範囲で多く給油することも可能ですが、その分、多くの燃料を輸送することになり、経済的な合理性がありません。多くの航空会社はその拠点空港で使用する燃料の多くを購入し、大量の購入契約を結ぶことで割引を期待することが出来ますが、その割引率は僅かなもので、大きな割引は期待できません。

燃料消費を意識的に減らすことで、燃料代を抑えることは可能です。運航機材の平均機齢(使用年数)の違いは、燃料代に大きな影響を与えます。新しい機材は複合材などを多用し機体が軽い上に、設計上も空気抵抗が低くなるように設計されています。更に、エンジンは低い燃料消費で高い出力を実現しています。また、飛行環境によっても燃料の消費量は異なります。巡航よりも上昇する方が消費する燃料の量が多いことから、長い距離を飛行した方が、距離単位での燃料消費量は少なくなります。飛行高度、機体重量、風向きも、燃料の消費量に影響を与えますが、これらの要因のある程度は制御できます。サウスウエスト航空のパイロットは、燃料の消費量を意識して、風向きや気象条件を考慮の上、航空管制に飛行高度を要求すると言われています。

著しく燃料代を減らすことは、その価格が航空会社の外部で決定され、しかも変動することから、非常に困難とされていますが、航空会社は将来の燃料価格をヘッジすることで、燃料価格の変動には対処することが出来ます。ヘッジには、定められた価格で近い将来に燃料を購入する先物予約や、手数料を払うことで、定めた価格以上に市場価格が上昇した場合、市場での直物価格との差額を決済する、オプションなどの手法があります。

燃料価格のヘッジ手法は、航空会社の経営方針や経営環境により異なります。例えば、ライアン・エアーは購入する燃料の100%をヘッジすることで、いち早く運航費用を確定させ、必要に応じて他の費用を削減しています。しかし、多くの航空会社は、燃料価格が上昇すると判断した場合、ヘッジする比率を高くしたり、期間を長くしたりします。逆に、燃料価格が下落すると判断した場合、ヘッジする比率を下げ、期間も短くします。