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航空事情 航空ビジネス講座

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各論(2)  航空会社の収支 − 費用分析(1.直接費用) 7)整備・改修費

 
この項目には、整備士に支払われる賃金、使用される交換部品代、整備管理費用などが含まれています。また、整備施設に含まれるものには、運航基地や地上経費など間接費用として分類されるものもあります。整備は、1)航空会社の運航資格に基づき、運航上の安全性を確保する為に、一定の周期で行う整備や点検と、2)機材に不具合が起きた場合に行う整備や修理の、ふたつに分類できます。米国では航空会社間の整備費用を比較する為、次の分類に分けることが求められています。

1)機体に掛かる直接の整備費用
2)エンジンに掛かる直接の整備費用
3)個々の機体やエンジンに掛かった費用とは分類できない、整備管理費用

機体が古くなれば、その分だけ整備費用が嵩みます。新しい機材を運航することで、整備費用を減らすことができます。異なる機種の機材を運航することは、それだけ異なる資格を持った整備士が必要となり、整備や交換の為に用意する部品や施設の数も多くなります。従い、同じ機種で機材を統一することで、効率性を向上させることができます。多くの低コスト航空会社は、単一機種で機材を統一しています。

2度の倒産を経験したコンチネンタル航空の最高経営責任者(CEO)となったゴードン・ベスーンはまず始めに、古い機材を運航から外し、機種を絞りました。機種を少なくすることは、資格を持った整備士の訓練費用を削減したり、機種毎に異なる交換部品の数を減らしたりできるだけでなく、交換部品の輸送費用や保存費用も削減できます。また、足場を組むような大掛かりな整備を実施するには、機種毎の整備施設を整える必要もあります。

整備費用は、機体の年齢に直接、影響されます。ICAOのデータでは、6年目の機体の整備費用は、提供座席キロ単位で約50セントですが、10年目では約80セントに上昇しています。また、メーカーから購入する機体には、他の製品と同様に、メーカーの保証が数年間付いています。機材の製造上の不具合に付いてメーカーは、無償で交換部品を提供し、交換や点検に要した整備費用を負担します。

整備費用は、整備項目を分散化することで下げることが可能です。一度に大掛かりな整備を、時間を掛けて行うのではなく、定期的な整備時に、関連する部分の整備を同時に実施します。例えば、5年毎に実施する整備項目と、1年毎に実施する整備項目があるとすると、5年毎の整備項目をまとめて実施するのではなく、数回に分散して、1年毎の整備と同時に実施します。同時に整備を実施することで、同じ箇所のパネルを外したりする整備上の手間を省くことができます。整備項目を分散することで、費用負担も分散することができます。

飛行距離も整備費用に影響を与えます。同じB747型機でも、毎日、東京〜福岡間を2往復する機体と、東京〜那覇間を1往復する機体では、飛行距離はほぼ同じですが、前者のサイクル数は後者の倍になります。機体は飛行すると上空で与圧され、その度に空気圧による胴体の金属疲労が進みます。エンジンは始動することで、内部の温度が数千度にまで上昇し、温度変化による疲労が進みます。従い、サイクル数が増えると、整備費用は上昇します。短距離路線を運航する航空会社が、長距離を運航する航空会社よりも、より整備費用の負担が大きくなります。