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航空事情 航空ビジネス講座

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◆エアバス機の開発と市場変化(2) 超大型機◆

 
エアバス社は1990年代、エンジン2機を搭載した長距離型のA330型機、A330型機と同じ胴体でエンジン4基を搭載したA340型機を開発する。A330型機は成功し、ボーイング社でも対抗機種となる7E7型機の開発を検討している。

しかし、無着陸飛行可能な航路制限のある双発のA330型機に対して、それをエンジン4機で克服したA340型機は、その経済性の悪さを埋め合わせるだけの特徴はなかった。エアバス社はA340型機に特徴を持たせる為、更なる長距離型化と胴体の延長による大型化を図るが、翼や尾部を再設計する必要があり、完全なやり直しを迫られた。

機体の大型化は最終的に、A380型機の開発へと発展する。ボーイング社のジャンボ機の支線を運航する機体として最初の機体となるA300型機を開発したエアバス社には、悲願ともいえる、そのジャンボ機に代わる機体の開発を始めた。

しかし、一旦、ジャンボ機などの登場で座席あたりの運航費用を引き下げる期待から大型化された機材は、中短距離路線の運航体制がハブ・アンド・スポーク化されたことなどで、小型化へと逆行することになる。また、航空会社は不安定な市場環境に対して、大型機への投資に慎重な姿勢を取らざるを得なくなる。

2003年12月のドバイ・エアー・ショーでエアバス社の会長は、長距離市場のハブ・アンド・スポーク化と細分化が同時に起きているとして、A380型機の市場性と開発の意義を強調した。ボーイング社は、市場の細分化から大型機ではなく中型機への需要が高まるとし、7E7型機の開発を検討しているが、大型機の開発を進めるエアバス社も、市場の細分化は否定できなかった。

香港やシンガポールからのロンドン線など、A380型機でジャンボ機を上回る、座席当たりの運航効率を実現できるだけの需要が期待できる路線はある。しかし、機材繰りなどを考慮した路線網として、ジャンボ機の代わりにA380型機を投入することで、優れた経済性が実現できる航空会社はまだないだろう。

航空会社は乗客や貨物を輸送することで収益を上げている。従い、運航スケジュールは機材の稼働率を最大限にするものではなく、乗客や貨物の需要や利便性に合わせなくてはならない。香港からのロンドン線で、A380型機がシャトル便的に、毎日異なる出発時刻で運航されては、利便性は低下する。

2006年に路線就航を目指しているA380型機の登場は、市場の需要に対して10年程度早かった結果になるだろう。従い、エアバス社が示している採算ラインの250機目を生産するのは、随分、後のことになるだろう。また、生産される機体の3分の1以上が、貨物専用機となるとも想像される。

機材の小型化の過程では、市場変化に先行してA320型機を開発したエアバス社は、機材の大型化の過程では、市場変化を10年程度先行してしまい、現在、求められている中型機を開発する余力がない。

A330型機は中型長距離路線機として成功しているが、中短距離路線への柔軟性が低い。7E7型機の開発が実現すれば、日本の国内線市場など、エアバス社のボーイング社に対する、中型機市場での劣勢は明らかとなるだろう。しかし、これも中期的なことで、長期的にはどちらが成功するかは不明だ。

航空業界はテロや戦争、感染症などの影響もあり赤字続きで、否定的な受け止められ方しかしない。しかし、国内総生産(GDP)などの経済成長を示す指標と伴に、航空需要は伸びている。赤字となっているのは個々の企業の問題とも言える。航空業界がどう変化するかによって、機材の市場も変化し続けるだろう。(おわり)