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航空事情 航空ビジネス講座

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◆エアバス機の開発と市場変化(1) ナロー・ボディー機◆

 
欧州のエアバス社が最初に開発したA300型機は、北米大陸から大西洋を横切ってロンドンなど欧州のゲートウエーに飛来するB747型ジャンボ機から、乗客が乗り換え、貨物は積み替えられ、欧州域内の最終目的地へ移動する、ハブ・アンド・スポークのハブからスポークへの輸送を想定して開発された。

ジャンボ機の登場で航空運賃が下がり、飛行機がバスに乗るように、気軽に利用出来る時代、"エアバス"時代の到来を期待し、欧州域内の乗客と大西洋路線からの乗り継ぎ乗客を、300座席程度の中型機で輸送し、低い運賃を実現する考えだった。

しかし、その後の運賃の自由化、参入撤退の自由化など、規制緩和の影響もあり、航空会社間の競争は増し、同じ路線での運航便数は増加、路線の細分化が進んだ。細分化された市場は、小型で航続距離の長い機体を求めるようになる。

エアバス社は、A300型機の胴体を短縮し、航続距離を延長、コックピットをツー・メン・クルー化したA310型機を投入した。だが、胴体を短縮した機体では小型化に限界がある他、経済性への期待を満たすことができず、エアバス社は1980年代にナロー・ボディー機として、A320型機を開発した。

A320型機クラスの競合相手は、ボーイング社のB737型シリーズ機、旧ダグラス社のDC9(MD80)型シリーズ機だが、A320型機が市場で優位となる、決定的な仕様の違いがふたつある。

まず、A320型機の初期飛行高度が3万フィート以上と、長距離型のジェット機と同じに設計されているのに対して、B737型シリーズ機、DC9型シリーズ機は3万フィート以下に設計されている。

そもそも短距離路線のジェット化を目的に開発された機体は、初期飛行高度を低く設計することで、機体の強度は下がるものの、機体を軽量化することで経済性を高めていた。燃料効率の高い、高高度まで上昇する必要のない路線か、高高度を飛行する時間が短い路線に就航することを想定していた。

しかし、細分化された航空市場では、中距離路線でも座席数150席程度の機体が要求されるように変化し、初期飛行高度が高く設計され、中距離路線での燃料効率が高いA320型機は受注を伸ばした。ボーイング社のB737型シリーズ機も、1996年末から引き渡しが始まったNG(ニュー・ジェネレーション)型シリーズ機(−600、−700、−800、−900)からは、初期飛行高度を3万フィート以上に設計し、同等の性能に引き上げている。

ふたつ目は、A300型機がジャンボ機の貨物を、コンテナごと積み替えられるように設計された思想を踏襲したのか、A320型機もコンテナでの貨物搭載を可能としている。

航空会社は、あらゆる可能な部分で運航効率の改善による経費削減を求められているように、収入機会の拡大も迫られている。航空貨物は、ライフ・サイクルが短く、生産過程での在庫を抱えたくないハイテク産業などからの需要が伸び、航空会社の収入源として急成長していることから、旅客機の貨物スペースに付いても効果的な活用が収益に大きな影響を与えるようになってきている。

B737−400型機を使用するスカイネットアジア航空は12月、東京〜宮崎線での貨物輸送を始めたが、同型機にはコンテナでの貨物搭載ができないことから、バルクで(パッケージことにベルトコンベアーなどで)貨物を搭載、搬出している。通常、B737型シリーズ機では、貨物の取り扱いに、機体の貨物スペースにひとり、地上にふたりの人員配置が必要になる。また、バルクでの貨物搭載には時間が掛かる。

コンテナであれば、ローダーを使い、ひとりの人員ででも、短時間での貨物の搬出、搭載ができる。空港でのブロック・イン・タイム(非稼働時間)を短縮し、機材の稼働率を高めたい航空会社は、コンテナの搭載できる機体を必要としている。

ボーイング社は、開発を予定している中型次世代旅客機7E7型機の貨物スペースを、競合するA330型機よりも大きくし、技術的な革新による経済性の向上の他、旅客と貨物を合わせた収益性の高い機材を設計思想としている。また、ボーイング社は、7E7型機の技術を応用した次世代ナロー・ボディー機は、コンテナでの貨物が搭載できる機体胴体を想定している。

エアバス社が、市場の変化を想定し、意図的にA320型機を設計したかは不明だが、市場はA320型機が優位な方向へと変化して行った。小型機でも短距離型から中距離型へ、旅客だけでなく貨物輸送でも機動力のある機体へと市場が求める機体仕様は変化して行った。(つづく)