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航空事情 航空ビジネス講座

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10.用語解説 - CRS(1)

 
CRS(コンピューター・リザベーション・システム)とは、コンピューターを通信回線で結ぶことで、運航スケジュールや目的地までの接続便、空席状況、提供されている運賃の照会や、予約や発券を行うシステムで、同時にホテルやレンタカー、鉄道、レジャー施設などの照会、予約も可能となっている。

航空業界は、1973年のエネルギー危機により燃料費が高騰し、運賃が上昇すると、旅客需要が大幅に落ち込んでしまう。厳しい経営環境に立たされたのは、航空会社より、予約や発券を行っている旅行代理店の方だった。旅行業界は、航空会社に対して、自社だけの予約システムを発展、拡大した旅行業界のサービスを網羅したシステム(CRS)の構築を働きかけた。しかし、殆どの航空会社はこの提案に耳を傾けることはなかった。

CRSに対して、米国の航空会社は、自社施設からの直接販売比率が極めて高く、旅行代理店経由の比率は低く、そこに多額の投資を行っても経営効率は改善されないと常識的に判断した。しかし、アメリカン航空では、旅行代理店が求めているサービスの内容は、航空会社の市場である旅客のニーズそのものであることに気がついた。市場の求める商品に素早く対応し、競争相手の顧客をも自社に取り込む営業戦略を行う必要があると判断した。

アメリカン航空はCRSにセーバー(SABRE)という名称を付けて、1976年に業界では初めて、旅行代理店に自社の端末機を設置した。次第に旅行代理店を訪れた、航空会社を特定しない旅客の予約は、アメリカン航空に集中することとなり、他社も独自のCRSの導入に追随することになる。セーバーはアメリカン航空以外の他社便の照会も可能だったが、アルファベット順に最初に表示されるのは、アメリカン航空の運航便だった。

CRSは当初、運営する航空会社の販売促進を目的としたツールとして位置付けられていたが、1980年代以降、米国と欧州でCRSに対する法的な規制が導入され、CRSに参加する全ての航空会社を平等に扱うことが義務付けられたことから、CRSの運営は、航空会社に取って経費がかかる割には、利益への貢献度は低下して来ている。

一方で、技術革新により、旅行代理店にとってはどのCRSを使っても全ての航空会社の予約をほとんど同様に取り扱うことが可能となった為、CRS端末を何種類も設置することが不経済となり、経費を節減するためにも、最も優れ、使い慣れたひとつに限定したいとの意向が強まっている。