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航空事情 航空ビジネス講座

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1.航空の経済 (4)

 
プライシングとスケジューリング

(1)プライシング

同じ座席に、違う運賃
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規制緩和のお陰で、航空会社も他の産業と同様に価格(料金)を自由に設定することが出来ます。航空会社は航空運賃(旅客、貨物)を需要状況、他社との競争を考慮に入れて設定します。その結果、以前に増して料金の変更が頻繁に行われ、同じ飛行機の同じクラスの座席に座る乗客でも、しばしば違う料金を払っています。

旅客の一部にとっては、同じ飛行機の同じクラスの座席を利用して違う料金を払うことは、理解し難いことです。しかし、ある旅客便には、様々な人々が、異なる理由で、異なる価値観を持って乗り込んでいることを思い起こせば、理解出来ることです。

異なる旅客の価値観
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例えば、ビジネスマンが重要な顧客と商談を進める為の出張で利用するのと、友人を訪ねる為に利用するのとでは、同じ旅客便の同じクラスの座席でも、利用することで期待できる価値には大きな開きがあります。恐らく、友人を訪ねるために利用する人が重要視するのは、他の条件よりも料金だと思われます。逆に、重要な顧客との打ち合わせの為に利用する旅客は料金よりは、顧客が指定する時間に間に合うスケジュールを優先するでしょう。その場合、料金は高くても構わないわけです。

事業成立の条件
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航空会社はそれぞれの旅客便で利益を最大限にする為に、通常料金の他に各種の割引料金を設定します。どのような(割引)料金体系を設定できるかが、航空事業を成り立たせる上で最も重要な部分です。

需要の少ない旅客便で割引運賃を設定せず、多くの空席を残したまま飛行機が離陸してしまうと、その航空会社その旅客便からは永遠に収益を上げる機会を失うわけです。逆に、事前に割引料金で多くの座席を販売してしまうと、その航空会社は離陸直前に予約して通常料金を払ってくれる旅客を逃してしまい、収益の機会を逸してしまいます。

精度の高い予測と、継続的な変更
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適切な運賃体系を旅客便毎に設定する過程を、利益率管理、もしくは収益管理と呼びます。それは複雑な過程が要求され、最先端のコンピュータソフトウエアが、過去の需要動向、予約動向のデータを基に、ある特定旅客便の需要予想を弾き出します。その結果を参考にして、航空会社は料金体系を作成します。

また、市場の変化に合わせて継続的に料金体系を変更する必要があります。例えば、競合相手の航空会社が特定の路線で予想外の割引運賃を提供した場合、適正な対応(対抗する割引運賃の提供)を取らない場合には、座席の多くを空席にしてしまいます。

(2)スケジューリング

その重要性
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米国では規制緩和の結果、航空会社は国内線のどの空港にも、競合状況や市場機会を考慮に入れながら、自由に乗り入れ、便数、出発、到着時刻を決めることが出来ます。運賃同様、スケジュールは旅客にとってどの便に搭乗するかを決める為の重要な要因です。

しばしば、ビジネス旅客にとっては運賃以上にスケジュールが重要な場合もあります。ビジネス旅客は、顧客との打ち合わせが予定より伸びてしまった場合や、早く終わった場合には、あらかじめ予約していた旅客便から、その前後の旅客便へ変更出来ることを期待します。従って、同じ路線でより多い便数を持つ航空会社が優位に立てることになります。

考慮すべき要因
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航空会社は、自社が提供するサービスに対する需要動向や、マーケティング方針に従いスケジュールを立てます。しかし、そのスケジューリングには複雑な要因が絡んできます。それは、飛行機の機種や、パイロット・客室乗務員の配置、飛行機の整備計画、空港の運用制限等を考慮に入れなくてはなりません。

定期便のシステム
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航空会社は、ある旅客便の予約客が少ないからと言ってフライトをキャンセルすることはありません。定期航空輸送の特性は、その航空会社が立てたスケジュールに従って、毎日飛行機が移動することにあります。ある特定の1便をキャンセルすると、同じ日に他のどこかで飛行機が足りなくなります。そうすると、また他の旅客便をキャンセルせざるを得なくなります。

避けられないキャンセル
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飛行機の整備上の問題から旅客便をキャンセルせざるを得ない場合に航空会社は、予約客の少ない旅客便からキャンセルして、より多くの旅客を輸送する旅客便に、使用可能な飛行機を割り振るでしょう。このことは、単に航空会社がより利益を得る為のことのように思われるかも知れませんが、そればかりではありません。航空会社としては、避けられない不便を被る乗客は最小限にしなくてはなりません。