キャセイホリデー
 
<< BACK 

航空事情 航空ビジネス講座

TOP>>

 

1.航空の経済 (3)

座席と予約

損益分岐ロードファクター
-------------------
各航空会社には独自の損益分岐ロードファクター(有償座席利用率)があります。それは運行費用が賄える一定の利益率、もしくは料金で販売した航空券で搭乗する乗客の、座席利用率のことです。

航空会社によって収入、支出の内容は異なります。従って、損益分岐ロードファクターも異なるのです。コストが上昇すれば損益分岐ロードファクターも上昇します。また、航空券や航空貨物運賃が上昇すれば、全く逆に、損益分岐ロードファクターは下降します。米国航空輸送産業全体としては、ここ数年の損益分岐ロードファクターは約66パーセントです。

通常、航空会社は損益分岐ロードファクターに近い業績で経営されています。僅か一人か二人多く乗客を乗せられるかの違いが、航空会社が黒字になるか赤字になるかの分かれ目となっているのです。

座席配分
--------
座席数の増加に応じて追加の費用が発生しないとすれば、航空機の座席数を増やすことは
航空会社の収益力を向上させます。しかし、航空機のなかに何席座席を配置するかは航空会社の営業戦略次第です。航空会社が格安航空券の販売をその営業戦略とすれば、1席当た
りの単価を下げる為に、同じサイズの航空機の中に出来るだけ多くの座席を確保しなくてはなりません。逆に他の航空会社は、快適さと仕事の出来るスペースの為には割高な料金でも払ってくれるビジネス旅客の獲得をその営業戦略とすれば、余裕を持ってビジネスクラスのスペースを確保し、少ない座席数にする必要があるでしょう。

航空会社は多様な顧客の要望に見合った適切な座席配分を行わなくてはなりません。適切
な配分が出来ることで、その航空会社は収益性を維持出来るのです。

オーバーブッキング
------------------
場合によって航空会社はオーバーブッキングします。オーバーブッキングとは、航空会社が提供できる座席数以上の予約を受け付けることです。この慣行は過去の需要や、経済動向、人の行動傾向等の注意深い分析結果に基づいています。統計的に、通常料金の航空券を買った多くの旅客、特にビジネス旅客、は予約した航空機に搭乗するとは限りません。旅程を変更すれば搭乗便も変更しなくてはなりませんし、他の航空会社に変更したり、旅行自体を取り止めたりもします。そんな場合でも旅客が航空会社に連絡してくれるとは限りません。旅客によっては複数の旅客便に予約を入れることもあります。

もしも航空会社が予約を受けた座席に、全ての予約客が搭乗してくれたら、それは航空会社、旅客の双方にとって大きな利益となります。航空会社が持つ在庫は座席です。予約した旅客が搭乗しなければ、その座席は空席のままです。他の産業では、販売されなかった商品は在庫として将来販売することが可能ですが、航空会社の在庫は戻すことが出来ません。このことが航空会社の生産性を低下させています。航空会社の生産性が高まれば、航空券の値段を下げたり、機内サービスを向上させたりすることが出来るようになり、旅客の利益にもつながります。しかし、現実はそうではありません。その結論として、航空会社はオーバーブッキングをするのです。

航空会社は闇雲に、行き当たりばったりでオーバーブッキングをしているわけではありません。航空会社はそれぞれの路線、時間帯に付いてどの程度のノーショー(予約していて現れない旅客)が発生するか過去のデータから判断して、ノーショーとオーバーブッキングが同じ数になるように調整しています。

殆どの場合、過去の経験則が効果的に働きオーバーブッキングをしても、空港に現れた予約客全員が搭乗出来ています。しかし、たまに座席数以上の予約客が現れることがあります。その場合、航空会社は予約客に対して予約を取り消す為の優遇を提供します。他の便で使える、無料航空券が典型的な優遇です。

通常、航空会社が必要とする数以上の予約客が優遇と引き換えに、予約の取り消しを申し出てきます。しかし、必要とする数に達しない場合には、予約したのに搭乗できない旅客が出てしまいます。めったに起きる事のない事態ですが、発生しています。米国の場合は連邦法の規定で、航空会社は予約便に搭乗出来ないことで旅客に生じる問題を補償し、他の旅行手段を確保することが義務付けられています。補償の金額は連邦政府が定めた規定に従います。